提案! WebやSNSを用いた“行政との上手なおつきあい”を考える

2017.12.19

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行政のおはなし

こんにちは。

コラバドのコンセプトである「行政との上手なおつきあいを提案する」ことを真剣に考えている、ライターの山村です。

このコンセプトは、行政と市民が上手におつきあいできていないことを前提としたものでは決してありません。

各行政機関が、日々、様々な情報を発信していることを私はよく知っています。ただ、その情報が、必ずしも多くの市民には届いていない(正確には、行政の情報に関心を持っていない人が多い)のではないかという現状を残念に思っているのです。

今日は、行政機関が発する情報が多くの市民に届くための取り組みについて考えてみたいと思います。

情報が届かない主な理由

まずは、行政機関が発する情報があまり市民に届かない理由を考えてみましょう。 

①市民は、必要に迫られない限り行政の情報に目を向けないのでは?

私自身も含め、多くの一般市民は、必要に迫られない限り行政情報に目を向けない傾向があるのではないかということが考えられます。 

「子育て支援サービスを頼みたいけど、どこに相談したらいいのか?」
「高齢の親が転倒して寝たきりになってしまったが、どうしたらいいのか?」 

など、必要に迫られてはじめて行政サービスに目を向けるという人は少なくないのではないでしょうか。

②情報が届きやすい方法を適切に選択していないのでは?

情報発信は、民間企業における広告・宣伝にあたると考えられます。 

民間企業の広告・宣伝は、伝えたい情報を単にWebページ等に掲載するだけでは完結しません。どのような人に、いつ、何を、どこで、どのタイミングで伝えるのかを戦略的に考えた上で行われています。 

行政機関の情報発信は、オフィシャルホームページや広報紙への掲載、ケーブルテレビ等の専用チャンネルを用いた広報等が主な手段と考えられますが、情報の届きやすさという視点からメディアを選択するようなことはあまり行われていないように思います。

情報を、どうやって届ける?

行政機関が民間企業のように、広告・宣伝費をかけて情報を発信するのは現実的ではないかもしれません。

では、どうすればいいのでしょうか。

情報の伝達は、発信者(行政機関)と受信者(市民)との「接点」を通じて行われます。行政機関がすべての市民と「接点」を持つことは難しいので、現実的には発信者と受信者とを媒介するものが必要となります。これが広報紙やWebなどのメディアです。
また、口(くち)コミが媒介となる場合もあります。民間では、これをうまく活用したインフルエンサー・マーケティングという手法も用いられています。

民間企業では、高い広告効果をあげることにお金と労力を費やしますが、行政機関では、従来の方法(広報紙やWeb)で発信した情報を、いかに多くの人に届けるかを考えるのが現実的でしょう。

そこで提案したいのが、発信者(行政)と受信者(市民)の間に入る「人」を作り、多くの市民の受信活動を活発化させるという取り組みです。そういう「人」を政策として育成し、WebやSNSなどを使った情報受信活動を活発化させる政策です。

WebやSNSを用いた地域情報化を推進する

WebやSNSを用いた情報提供は目新しい施策ではありません。また、こうした施策を考える際には必ず「高齢者はWebやSNSを使えないのでは?」という課題につきあたります。

しかし、「弱み」は「強み」にすることが可能です。

「高齢者がWebやSNSを使えない」ことが弱みなら、「使える」ようにしてしまえば「強み」になるのです。
それを可能にするのが、先ほど書いた発信者(行政)と受信者(市民)の間に入る「人」を政策として育成する取り組みです。

たとえば、地域に1人ずつ、WebやSNSの利用を支援するボランティアを配置したらどうでしょうか?

イメージは、以下のとおりです。

①自治体が、政策として「支援ボランティア」を育成

「支援ボランティア」という「人」を確保し、育成する取り組みを自治体の施策として行います。 

②「支援ボランティア」は、市民のWebSNS利活用を支援

「支援ボランティア」は、日常生活やボランティア活動の場などを通じて市民や高齢者等と接点を持ち、WebSNSを利用した「行政との上手なおつきあい」を提案し、支援する活動を行います。活動の方法、場所、頻度等は自由とし、気軽に取り組める状態を作ることが大切です。 

③情報化フェスティバルなど、みんなで楽しめるイベント等を開催

自治体は、活動を盛り上げる楽しいイベント等を企画・実施して、「支援ボランティア」の活動を後押しします。 

④行政情報を定期的に発信

WebSNSを用いて、自治体が発信したい情報を定期的に発信します。市民にとって魅力的な情報を発信することが最も大切なことです。 

⑤アクセス状況を分析し、「支援ボランティア」の活動成果を「見える化」

WebSNSへのアクセス状況を分析して「支援ボランティア」の活動の成果を「見える化」します。 

⑥WebやSNSを地域の産業の広告メディアとして活用する

行政が情報を発信し、市民が情報収集のためにアクセスするメディアを、地域の産業の広告メディアとして活用すれば、ボランティア参加者へのメリットとなるかもしれません。たとえば、地域の商店の店主が支援ボランティアとして登録し、活動を通じて市民との接点を持ち、さらに広告も可能となれば、情報化の推進だけでなく地域活性化にもつなる施策となります。

最後に

ご提案したような取り組みは、実際に既に行われている事例があります。
たとえば、「地域情報化推進員」と検索してみると、いくつかの事例がヒットします。

今回のご提案で最も大切なのは、この取り組みに多くの方が参加し、そしてそれを継続させることです。
そのためには、参加者が楽しめること、参加者にメリットがあること、負担が少ないこと、自由であること等が必要だと考えています。

つまり、緩く、自由に、楽しく活動できること、これが必須だと考えています。

もし「面白いな!」と思っていただいた自治体がありましたら、ぜひ取り組んでみてください。
また、もし、ここには書いていないアイディアも聞きたいとお考えでしたら、ぜひ当社までご連絡ください!(営業です!)

 

この記事を書いた人

山村 靖彦名古屋事務所

コラバド副編集長。 専門は社会福祉。 主に、自治体の福祉関係調査や計画策定を支援している。 社会福祉士、専門社会調査士の資格を有する。

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