高齢者の運転免許の更新【その2】 更新手続きの実際

2018.02.28

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交通のおはなし

ライターの片桐です。
前回は、高齢者の免許関連データから見えてくる実態と問題点について投稿しました。
今回は、私が実際に運転免許更新に行った際の手続きを紹介します。

更新手続きの流れ

私は、平成29年10月が更新月でしたが、5月中旬には埼玉県公安委員会から免許更新の通知が送られてきました。

そこには、下図のように「認知機能検査の受検⇒高齢者講習の受講⇒免許更新手続き」の流れが書かれていました。
免許更新手続き以外は、指定された教習所の中から選んで検査や講習を受けるようになっています。
最近では高齢者が増えたこともあり、なかなか予約が取れない状況で、通知を受け取ってから検査と講習を受けるまでに、ほぼ3か月かかってしまいました。

まずは、認知機能検査!

7月に、同世代の15人の方と一緒に「認知機能検査」を受けました。

検査員が、「私の声は聞こえますか? 聞こえたら手を挙げてください。」と、説明をはじめますが、受験者はおじいちゃん、おばあちゃん達ですので、聞き返したり、トイレに行かせて欲しいと言い出したり、いろいろなことが起こります。

さて、検査では、最初に名前、生年月日、性別、普段の車の運転状況等を記入します。
それが済むと、次の3つの問題が出されました。

【1.時間の見当識】(約3分)

これは、当日の年月日と曜日、時間を回答するものです。

【2.手がかり再生】(約14分)

①記憶(約5分)
16枚のイラストを見せられ、検査員が名前を読み上げ、それをみんなで復唱して憶えます。
イラストはごく簡単なもので、動物や花、家電や家具、楽器や台所用品など16のジャンルから出されました。例えばこのようなイラストです。

②介入課題(約2分)
記憶したイラストの名前をすぐに書かせるではなく、ランダムに並んだ数字の表を持ち、検査員が読み上げる数字に斜線を入れる問題が出されました。これは、採点には関係なく、いったん記憶を遠ざけるために行われるものです。

③自由回答(約3分半)
16枚のイラストの名称をヒントなしで思い出し、回答用紙に記入します。

④手がかり回答(約3分半)
16枚のイラストのジャンルが書かれた回答用紙が配られ、それぞれのジャンルにあてはまる名称を思い出して記入します。

【3.時計描写】(約2分)

最後は、検査員が指定した時刻を、回答用紙の時計の文字盤に短針と長針を描いて答えます。
これらの検査はほぼ30分で終わり、その後に採点された検査結果が手渡されました。
はじめに送られてきた通知書には、「埼玉県警のHPに認知機能検査の内容が載っているので参考にしてください」と書かれていましたので、誰でも見ることができます。
どんな内容か興味のある方は、警察庁のHPでも公開されていますのでご覧ください。

認知機能検査の判定は?

「認知機能検査」は、100点満点で判定されます。点数により次の3つに分類され、その後の講習内容に違いが出てきます。

①76点以上の場合
認知機能の低下のおそれがないと判断され、2時間の講習を受けて「高齢者講習修了証明書」を貰うことができ、警察署などで更新ができます。

②49点以上76点未満
記憶力・判断力が少し低くなっていると判定され、実車指導の際に運転の様子をドライブレコーダーで記録して個人指導を行うなど、3時間の講習を受けることが義務付けられます。

③49点未満
記憶力・判断力が低くなっていると判断され、3時間の講習を受けるとともに、臨時適性検査(医師の診断)を受けるか、主治医などの診断を受けてその診断書を提出することが義務付けられます。診断の結果、認知症であることが判明したときは、免許の取消し等の対象になります。

私は、幸いにも満点を取ることができましたので、2時間の講習で済みました。

次は、高齢者講習です!

認知機能検査を受けた同じ教習所に予約を入れ、8月に2時間の講習を受けました。
講習内容は、①視力測定・視野検査、②運転適性検査(実車での実地検査)、③法令の改正ポイントや運転注意事項の講義の3つでした。

この中で最も苦労したのは、実車でコースを走る運転適性検査でした。
一時停止、右折時の注意、車庫入れについて指摘されました(直線走行以外ほとんどですね)。

自分ではいつも通りに運転しているつもりなのですが、検査員からみると危なっかしい運転に見えたのだと思います。
長年の「つもり運転」のクセを見事に指摘していただきました。

なお、講習では、昨年の改正で「認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為(18基準行為)」をした場合にも臨時の認知機能検査を受けるようになったことも説明されました。
18の違反の中には、信号無視、通行禁止違反、通行区分違反(逆走)、進路変更禁止違反、徐行場所違反、しゃ断踏切立入り等、環状交差点(ラウンドアバウト)通行車妨害等が含まれています。

講習後には「高齢者講習終了証明書」を受取って、一連の検査・講習は何とか終了しました。

最後の更新手続きは10分で終了

更新月の10月に「高齢者講習終了証明書」を持って管轄の川越警察署に行き、更新の手続きを行いました。
更新は、視力検査だけでしたので10分ほどで終わり、新しい免許証を受取ってきました。

まとめ

今回、免許更新の手続きを受けて感じたことの1つは、このような検査や講習は必要だということです。
75歳を過ぎると、1年ごとに運動能力や注意力が落ちることが実感できますが、自分から進んで病院に行き、認知機能の検査を受けるのはハードルが高いと思うからです。

2つ目は、地域公共交通をもっと充実させる必要があるということです。
買い物や通院などの移動手段が自家用車しかない地域では、運転能力が落ちたと感じても自分で運転せざるを得ない状況にあります。
私が住んでいる川越市では「市内循環バス 川越シャトル」が運行されていますが、利用できない場所もあります。
各自治体で地域公共交通網形成計画の作成が行われています。それぞれの地域に合ったネットワークを構築することで、利便性の向上とともに高齢者の自動車事故の減少につながるものと思います。

私自身は、自分と妻の病院通いや買い物などのために、もうしばらくは運転しようと思っています。
ただ、運転適性検査で厳しく注意された「逆走・はみ出し・一時停止・わき見運転・距離感・早めのサイン」を守って“後期高齢者らしくやさしい運転”を心掛けたいと思っています。

また、講習時に「ドライブレコーダー」が事故などの時には有効だと聞いたので、整備業者に申し込みました。
ただ、需要が多い型番らしく2か月程度待たされています。
最近、「ドライブレコーダー」の売れ行きがいいのは、高齢者の事故が多いことも影響していることは確かですね。

(関連記事)

高齢者の運転免許の更新【その①】 高齢者の運転免許保有と交通事故

 

この記事を書いた人

片桐 清

調査経験が長いだけの後期高齢者

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