ISO20252にみる、“適切な調査”を行うためのポイントとは?

2018.05.08

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SRC

こんにちは。ライターの山村です。
以前掲載いたしました「自治体職員必見! アンケート調査実務に必要な知識とは? ~自治体職員向け統計研修レポート~」の記事中に、

社会の多くの場面で適切な調査が行われることこそが大切だと考えています。

ということを書きました。
そのため、当社は、調査実務に必要な統計知識をお客様にも伝えることを重視しているという趣旨の記事でした。

また、当メディアでは、アンケート調査票の設計の重要性についても、以下の通り多くの記事を掲載してきました。 

リサーチャー必見! 調査の価値を高める調査票設計の基本とは?

アンケート調査における良くない質問① ~絶対にやってはいけないダブルバーレルとは?~

アンケート調査における良くない質問②~知らずにやってしまう誘導質問とは?~

アンケート調査における良くない質問③~木を見て森を見ずの質問とは?~

 そして、当然のことですが、当社の調査担当者は“適切な調査”を行うことに注力しています。
当社が早期に、調査の国際規格であるISO20252を取得した目的は、そこにあります。 

実はこの「ISO20252」の要求事項は、見方を変えると、“調査実施方法に関する世界共通のガイドライン”ともいえる内容になっています。 

下記をご覧ください。
これは、「ISO20252」の要求事項の項目一覧です。
調査業務のプロセス全体が網羅されていることがおわかりいただけると思います。
項目ごとに“要求事項(しなければならないこと)”が記載されていますので、それらに一つひとつ対応していけば“適切な調査”を行うことができるという仕組みになっています。

※クリックすると拡大します

今回は、これら多くの要求事項の中から3点をピックアップしてご紹介いたします。

①顧客からの提供情報は、すべて「極秘事項」扱い!

たとえば、「3.2 調査の秘密保持」には、

クライアントから調査実施機関に対して供給された情報は全て極秘事項として取り扱われなければならない。
(中略)
調査対象者から提供されたデータ(例えば、記入済み調査票)は、彼らの個人識別情報と同様に秘密厳守で取り扱われなければならず、調査対象者に提供された全ての保証は履行されなければならない。

と、記載されています。
これに基づき、当社では、クライアントから提供された情報を「顧客の所有物」と定義し、個人情報の有無等に基づく「管理ランク」の設定と適切な保管、顧客への受領報告(受領書、借用書などの文書による)、返却や廃棄に関するルール等を明確化しています。

②力量を考慮した担当者の選任!

「3.4 力量と教育訓練」には、

調査実施機関は、次のことをしなければならない。
・プロジェクト要求事項に影響を及ぼす業務を遂行する要員に必要な力量を決定すること
・必要な力量を達成するために教育訓練を実施し、またはその他の措置を講じること
・教育、訓練、技能および経験について適切な記録を維持すること
・組織が実施した教育訓練及び力量基準の有効性を定期的に見直すこと

と、記載され、担当者の力量も“適切な調査”を行うために必要と指摘されています。
これは、実際の業務でミス等が発生して顧客に謝罪する場面等では、いつも頭を過る内容です。
あたりまえですが、「この担当者がミスをしました」では通用しません。
会社として、組織として、業務担当者に必要となる力量を定め(力量の決定)、担当者の力量を高め(教育)、その有効性を定期的に見直すことの必要性が言及されています。

③調査票は、プリテストを実施!

「4.4.3 調査票のプリテスト」には、

クライアントまたは調査実施機関が必要と考える場合には全ての調査票(自記式を含む)に関して、プリテストが実施されなければならない。同じ調査票が以前にテストされ、同等の状況で使用されたことがある場合には、そのようなテストはより限定的スケールのものであっても良い。プリテストが行われた場合、その結果が文書記録されなければならない。

と、記載されています。

プリテストとは何? と思った方もいらっしゃるかもしれませんので、ISO20252の「用語及び定義」の記載内容を引用します。

(プリテストとは)調査票の出来栄えをチェックする目的で、フィールドワークの全面実施前に行われる小規模なテスト

つまり、適切な調査が実施できる調査票になっているかどうかを本番前にテストするということです。
規格では、“必要が認められる場合”のみプリテストを行うという要求事項となっていますが、当社では、受け手(調査記入者)が答えにくい表現や誤解する表現などが無いかをチェックするため、すべての自記入式調査票(郵送調査やWeb調査で用いるもの)についてプリテストを実施しています。

おわりに

今回は、3点のみ紹介いたしましたが、これらをみただけでも重要な視点が要求されていることがわかりますね。
ISO20252」では、調査の全プロセスにわたって重要な視点が要求されています。
それらの一つひとつに応えていくことで、適切な調査実務を実現するという仕組みになっています。 

そして、すべての要求事項の根幹にある考え方は「顧客との合意」です。

当社のような調査実施機関は、調査手法やプロセスについての適切な知識を持っていることは当然であり、さらにその上で「顧客との合意」を重視して取り組むこと、合意内容は文書に記録し保管すること、そうした業務遂行が今後ますます求められていくことと思います。

<参考>
『市場・世論・社会調査-用語及びサービス要求事項 規格解釈のガイドライン Vre3.0 ISO202522012年対応版』

この記事を書いた人

山村 靖彦名古屋事務所

コラバド編集者。自治体の計画策定コンサルタント。専門は社会福祉(社会福祉士)。

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