介護には、こんなにお金がかかっている! あらためて知ろう、介護保険制度のこと

2016.08.31

29

福祉のおはなし

kaigo002

こんにちは、社会福祉士の山村です。こんなふうに資格名を堂々と名乗ることはほとんどないので、ちょっと不思議で嬉しい気分。この資格を取るためには、休日返上で勉強しましたし、受験資格を得るために学校にも通いましたので、ずいぶんお金もかかりました・・・。
さて、今日は、介護保険制度の基礎的なお話をしたいと思います。

福祉や介護サービスの現場に従事する方々の報酬の安さが問題になっている一方で、介護保険制度の運営には多額の財源が投入されているという現実があります。今回は、介護保険制度の概要を知っていただくとともに、「介護にはたくさんのお金がかかっている」という現実も理解していただければと思います。

まずはおさらい:介護保険制度って?

①「介護を社会全体で支え合うしくみ」として作られました

高齢化が進む我が国では、要介護高齢者も増加してきました。介護保険制度ができるまでは、主に家族が要介護高齢者を介護してきましたが、核家族化の進行や介護家族の高齢化等により、家族の力だけで支えていくことが難しくなってきました。
こうした状況を受けて、「介護を社会全体で支え合うしくみ」として作られたのが介護保険制度です。

②財源は、保険料と公費(税金)で賄われています

介護保険財政の全体像

介護保険制度の財源は、保険料と公費(税金)です。第1号被保険者(65歳以上の被保険者)が支払う保険料が財源の22%、第2号被保険者(40歳〜64歳の被保険者)が支払う保険料が28%を占めています。公費(税金)は、国が20%、県と市町村がそれぞれ12.5%を負担します。その他、調整交付金(市町村の75歳以上の高齢者の割合や所得状況に応じて調整する国の財源)が5%となっています。

被保険者が介護保険のサービスを利用した場合には、サービス費用の1割(高額所得者では2割)を負担していただきますが、残りの9割(高額所得者では8割)が先ほど説明した割合で賄われます。非常に大きなお金が投入されていることがお分かりいただけると思います。

③利用できるサービスは?

介護保険で利用できるサービスには、自宅への訪問・施設への通所(日帰り)・短期入所によるサービス(居宅介護サービス・介護予防サービス)、施設への入所(施設サービス)、身近な地域で訪問・通所・短期入所をバランスよく利用できるサービス(地域密着型サービス)があります。

介護サービスの種類

図の上段の「給付を行うサービス」、次項で触れる要介護認定で要介護1から5に判定された人が利用するサービスです。図の下段の「給付を行うサービス」は、要支援1または2と判定された人が利用するサービスです。

④まずは“要介護認定”を!

介護保険のサービスを利用するためには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。

要介護認定制度について

お住まいの市町村に申請すると、職員の訪問調査及び主治医意見書に基づく一次判定、専門家で構成される介護認定審査会による二次判定が行われ、要介護度(要支援1から要介護5までの7段階)が判定されます。要介護度に応じて、利用できる介護保険サービス費用の上限(区分支給限度額)が下図のとおり決められています。区分支給限度額を超えるサービス利用は、全額自己負担となります。

支給限度額

⑤「ケアプラン」を作成して、サービス利用開始!

実際のサービス利用時には、「介護サービス計画書(ケアプラン)」を作成し、いつ、どのサービスを、どれだけ利用するのかを決める必要があります。ケアプランは自分で作成することもできますが、専門家に依頼するのが一般的です(これは、自己負担ゼロ円で利用できます!)。要介護1から5のいずれかに判定された方は居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談しましょう。また、要支援1または2と判定された方は、お住いの地域を管轄する地域包括支援センターに相談しましょう。

介護サービスには、どれくらいのお金がかかっているの?

ここまで、介護保険制度の基本的な仕組みを紹介してきましたが、まだまだ細い説明が必要だと思います。今回は説明していない制度や事業等がありますので、そのあたりは“続編”にご期待下さい。

最後に、介護保険制度の運営にはどれくらいのお金がかかっているのか、また、どのくらいの勢いで増加してきているのかを見ていきたいと思います。

総費用額の推移と被保険者数などの各種指標の伸び率

このグラフは、介護保険制度がスタートした平成12年度から平成26年度までの総費用額(利用者負担を含むサービスの総費用)の推移と、平成12年度を1.0とした場合の各指標の伸び率を表しています。平成12年度の総費用額は約3.6兆円でしたが、平成26年度には約9.2兆円に達し、15年間で約2.6倍伸びています。この先、いったいどこまで増大していくのでしょうか?

また、グラフでは、居宅サービス費用額の伸び率(緑の点線)や居宅サービス受給者数(緑の実線)が、総費用額の伸びと連動しているように見えます。総費用額を肥大化させている主な要因は、居宅サービス利用者の増加であることがわかります。

まとめ

今回は、介護保険制度の概要と、たくさんのお金がかかっている実態をお話しました。もちろん、“必要なサービスを必要なだけ使える”ことが大前提ですが、制度が破たんしてしまっては困ります。本当に必要なサービスを賢く利用するとともに、普段から健康に気を配り、予防を意識した生活を送ることが必要になってきます。

<参考資料>
『公的介護保険制度の現状と今後の役割(平成27年度)』厚生労働省老健局
「介護保険事業状況報告(年報)」厚生労働省

 

この記事を書いた人

山村靖彦名古屋事務所

コラバド副編集長。専門は社会福祉。主に、自治体の福祉関係調査や計画策定を支援している。社会福祉士、専門社会調査士の資格を有する。