ウクライナ避難民に対して、私たちができること
初めてコラバドに投稿させていただきます。原田と申します。
普段は訪日外国人調査や観光系の業務に携わっています。
今回は2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻において、私が行っているウクライナ避難民支援についてお話したいと思います。
私とウクライナとの関係
2022年2月は、私にとって一生忘れられない月になりました。
私は15歳の時にウクライナに渡り、現地の大学を卒業し日本に帰国するまでの10年間、ウクライナ東部の街ハリコフに留学していました。
留学中は2つの大学に通い、ハリコフ国立大学で心理学を専攻し、ハリコフ国立文化アカデミーで音楽を学んでいました。
私の妻も同じ時期にウクライナに留学しておりました。
ウクライナ留学中には、旅行はもちろん、大学のコンサートや日本文化展示会の開催など、他の都市に訪問する機会もありました。
ウクライナ各都市には留学時代に知り合った多くの友人・知人が今も暮らしています。
帰国後の今でも現地の友人達や恩師たちとはSNSを通じて連絡しあい、お互いの近況を報告しあっています。
ウクライナ侵攻のそのニュースは、今年の2月23日の祝日明けに急に飛び込んできました。
これまでも、2014年頃からウクライナ東部での紛争は続いていました。
今年に入ってからも、ロシアによる侵攻の恐れがあるという報道も流れてはいましたが、実際にはそこまで大きなことにならないだろうと思っていたので、ウクライナ侵攻のニュースは私にとってはあまりにも衝撃が強く、数日間は魂が抜けたような状態でした。
ウクライナ侵攻の報道があってから数日間は様々な情報が自分のもとにも入りました。
自らも情報を探しながら、まずはSNSを通じて現地の友人達への安否確認から始めました。
多くの友人は国外に避難していることが確認できましたが、一部の友人達は今もウクライナに留まり避難生活や現地でボランティア活動などをしています。
私の母校も3月初めに砲撃で被害を受け、先生たちは国外に避難している生徒たちにオンラインで授業を行っているそうです。
そのように現地の情報を直接聞きながら、今自分は何をすべきかを考えていきました。
ここからは私が実際に行い、またこれから行いたいと思っている支援策についてお話します。
ウクライナ避難民支援で私がやったこと
支援とは言っても日本でやれることは限られるので、特別なことはしていません。
まずは、ごく普通にウクライナ支援を行っている団体を調べ、寄付を行いました。
そして次に考えたのは以下の2点です。
・自分でも寄付を募る方法がないか、自分でもできる支援策はないか
・一過性の支援でなくそれを持続させるにはどうしたらいいか
結論として、支援することも、それを持続させることも多くの人の「関心」を集めないとできないということです。
そのため、まずは関心を持ってもらえるようなプロジェクトを始めようと思いました。
ここからは私が実際に始めた取り組みについて紹介します。
1つ目は、ウクライナ国歌をSNSで投稿するプロジェクト
出典:東京新聞4月2日掲載より
プロジェクトの詳細や始めた経緯はこちらのリンクからも確認できます。
プロジェクトを考えた当初は、ここまで避難民が増えるなんてことは考えておりませんでしたが、子どもがいる自分にとって、このプロジェクトで一番支えたいと思ったのがウクライナの子ども達でした。
ウクライナ国歌を歌うことで私が願っていたことが2つあります。
①歌詞の意味を知ってもらい、また歌うことや聞くことでウクライナをより身近に感じて欲しい
②ウクライナの子どもが避難国で学校に入った時に、一人でもいいのでウクライナ国歌を歌える友達がいたら素敵だな
※ウクライナ国歌については是非検索してみてください。関心を持ってくれることが支援のファーストステップです。
2つ目は、支援策ではありませんが、10年間分のウクライナ留学体験記の執筆です。
ネットでもテレビでも悲しいウクライナのニュースしか流れてきません。
それらを見た人のウクライナへの印象は、あまり良いものではないと思います。
留学体験記を書いただけでウクライナのイメージが良くなるとは思いませんが、少なくとも戦争前のウクライナについて、日本の方にも知ってもらいたいと思い執筆を始めました。
今後行っていきたい支援策
今後、私が行っていきたい支援策についても簡単に紹介します。
①言葉の壁など言語面での避難民の支援(通訳、翻訳、語学での人材育成)
②避難民受入れのサポート(教育、就労、生活など受入れ後のサポートが最も大事)
③日本企業とウクライナ企業や人材(避難民)とのマッチング
④リサーチャーとして、避難民と企業、自治体、国とをつなげるための調査
⑤これは規模も大きく先の話ですが、近い将来必要となるのがウクライナの復興支援
全てができるとは思いませんが、できることから1つずつ始めていきます。
先日、ウクライナ避難民受入れを表明されている江戸川区の区議会議員の方と留学時代からの友人の付き添い(兼通訳)で具体的な避難民受入れについて打合せをしました。
日本への避難を希望するウクライナの学生と、オンラインで受入れ準備の報告や現地の状況なども確認しました。
詳細は省きますが、区議会議員の方の『今何が一番不安ですか?』の質問に対して、ウクライナの学生の答えは『日本での暮しはもちろん不安ですが、今一番心配しているのは無事に出国できるか、無事に飛行機に乗れるか』でした。
通常時でも遠い国に一人で行くのには勇気がいります。ましてこの戦時下での避難はこの学生に限らず皆命がけです。
そんな命がけで避難してきた方達が安心して暮らせるように、日本も準備していく必要があります。
ここまでは、『ウクライナへ思い入れのある人しかできないのでは』と思われる内容かもしれませんので、そうでない人でもできるウクライナ支援について書いてみます。
私たちにもできる支援
これからご紹介するのは、他の方達の意見も参考にしながら私が出した結論です。
①関心をもつこと
まずは関心を持っていただけるだけでも十分です。
どちらの国を支持しても構いません。
遠い国のことだから、自分には関係ないと無関心にはならないで欲しいです。
②流れてくる情報(報道)を鵜呑みにしない
関心を持ってニュースやSNSを見ていただくのは良いことですが、情報源はどこなのか、本当に信頼できる情報なのかまずは自ら考え、興味があればご自身で調べて下さい。
③寄付(クラウドファンディングへの参加)
誰がなんと言ってもやはり必要なのはお金であり物資です。
但し、注意点があります。
どんな団体なのか、何に使われるのか、この2点だけは必ず抑えて下さい。
何に使われても構わないという方であれば、詐欺の被害にあわないよう誰でも知っている実績のある団体に寄付するのがベストです。
④行動(アクション)を起こす
なんでもいいのでご自身でも行動を起こしてみて下さい。誰かの支援運動に参加するのもいいですね。
チャリティーに参加する、手紙を書く、ひまわりの絵を描く、歌う、ウクライナのものを身に着けてみる、ウクライナ料理を作るなど。
できればそれを友人・知人にもシェアして下さい。
以上の4つです。
そんなに難しい内容ではないと思いますが、どれも関心がないとできません。
日本にも経済的に影響が出始めていますし、世界情勢から見ても日本にとって対岸の火事というわけにはいかないかもしれません。
現にウクライナ避難民が日本にも入ってきています。
日本が震災に見舞われた時、世界が日本に注目し、支援をしてくれました。
私も含めこの機会にウクライナをはじめ諸外国についても目を向けてみるのはいかがでしょうか。
撮影者:私のプロジェクトを記事にしてくれた東京新聞の記者の方(4/8国連大学前の追悼集会にて)
※参考情報 国や関連団体等による避難民受け入れ支援情報
【出入国在留管理庁】ウクライナから日本への避難民に対して支援の提供を検討されている地方公共団体及び企業・団体の皆様へ
【NHK】ウクライナ避難民受け入れ 自治体の相談窓口は?【一覧あり】
【NHK】ウクライナへの寄付先一覧 国連機関やNGOなどの連絡先は?
【海外子女教育振興財団】ウクライナ避難民の子どもたち受け入れに関する支援プロジェクトを開始 『ようこそ、にほんへ』 PDF版
この記事を書いた人
原田 周一
訪日外国人や観光関連の調査に携わっています。ロシア語を話せますが、ロシアでなくウクライナに音楽留学していました。課内で多言語対応のスタッフと一緒に翻訳業務もやっていますが、私自身はロシア語の翻訳・通訳は苦手なので、手配専門です。