今さら聞けない⁉ 位置情報ビッグデータとは
こんにちは。ライターの泰良です。
タイトルの内容に入る前に、突然ですが2つの質問をします。
質問①
ある店舗前の歩道を人がどれだけ歩いているか、その人数が知りたいとしたらどのような調査をしますか?
質問②
約500m四方のエリアについて、ある1日(24時間)の1時間ごとの滞在人数が知りたいとしたら、どのような調査をしますか?
①の答えについては、既にこのコラバドに書いてあります。
気になる方は読んでみてください。
では、②はいかがでしょうか?
①と同様の調査もひょっとしたら可能かもしれませんが、大量の人員を長時間配備してデータを取得することは、人的リソースの確保や、費用等の観点から現実的ではありません。
そこで今回ご紹介するのが、位置情報ビッグデータです。
位置情報ビッグデータとは
位置情報ビッグデータとは、スマートフォン等から取得したユーザーの位置(滞在場所や移動経路)に関する情報を統計的に処理したデータの総称です。
大量のサンプル(ユーザー)、大量の履歴(ログ)を元にしたデータであり、一般的には大きな(ビッグな)データとなるため、本記事においては「位置情報ビッグデータ」と呼ぶこととします。
統計的な処理とは主に、個人を特定する情報を除去する処理(匿名処理、秘匿処理)を指し、それによって安全・安心なデータ活用が可能になります。
また、既定の条件に沿って集計・加工処理をし、膨大なデータの取り扱いが難しい人(非エンジニアや一般的なビジネスユーザー等)でも、表計算ソフトやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどでデータの利用が可能になります。
活用の分野は幅広く、観光、防災、店舗開発、まちづくり、交通計画など、様々な分野が挙げられ、2022年現在、官公庁、自治体、大学、民間企業等において既に多くの実績が積み重ねられています。
位置情報ビッグデータをサービスとして提供する会社は、携帯電話の通信会社や、スマホアプリを提供する会社などが挙げられ、データの仕様や細かい特徴は、各社それぞれ異なります。
上記は一部伝わりやすい平易な表現に言い換えたところもあり、厳密には異なる部分もあるかもしれませんが、話が長くなってしまうので、本記事においては一旦この内容でご理解いただければと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、この位置情報ビッグデータを用いることで、質問②に答えることが可能になります。
位置情報ビッグデータの可視化の例
今回は、株式会社NTTドコモが提供する「モバイル空間統計®」を例にとって、データ可視化のイメージを紹介します。
(モバイル空間統計®の詳細はコチラをご覧ください。)
※「モバイル空間統計®」は、株式会社NTTドコモの登録商標です
難しそうに感じるかもしれませんが、最もシンプルなものは、「対象のエリアと、対象の期間を選ぶ」というものです。
エリアは、都道府県や市区町村、それに地域メッシュなどの単位から選ぶことができます。また期間は、特定の日にちを指定することや、月平均などを選ぶことができます。
(地域メッシュの詳細は、総務省統計局のwebサイトをご覧ください。)
細かい話は抜きにして、以下の可視化イメージをご覧ください。
ある500mメッシュのある1日のデータについてTableauで集計したものです。
(※実際のデータとは異なります。あくまでもダミー値によるイメージです。Tableau とは、Tableau Software社が提供するBIツールで、今回はTableau Desktop 2022.2を使用しています。)
見ていただくと、次のようなことがわかります。
・時間ごとの滞在人数の推移(これが質問②の答えです)
・性別や年代の構成
・どこから人が来ているか(都道府県および市区町村単位の居住地情報)
これらの情報はカウント調査だけで取得することは困難で、人の手をあまりかけずに貴重な情報が収集できたと言えると思います。
この事例のように、ある1日のデータを可視化しただけだと「活用」とまでは言えないかもしれませんが、次のような比較を通して、その差分について分析・考察し、他データと組み合わせることで、新しい示唆を発見し、今後の施策につなげていくことが期待できます。
・平常時と特殊時(イベント、災害等)を比較する
・自店舗エリアと他店舗(競合店)エリアを比較する
・過去と現在を比較する(※サービス提供時から積み重ねられたビッグデータなので過去にさかのぼることも可能です)
おわりに
今回紹介したのはモバイル空間統計®というサービスですが、弊社ではそれ以外にも様々な位置情報ビッグデータを取り扱っています。
例えば株式会社Agoopのwebサイトには、弊社の会社ロゴを掲載いただいています(2022年7月現在)。
弊社が独自に位置情報ビッグデータを開発しているわけではありませんが、データを提供する企業と連携して、社会に役立つ総合的な調査サービスを提供しています。
自社開発のデータではないがゆえに、各社それぞれのデータの強みと留意点を把握して、お客様のニーズに沿った偏りのない客観的なご提案ができるところが弊社の特長です。
場合によっては特徴の異なる複数のデータを組み合わせたご提案も可能です。
位置情報ビッグデータといえども、万能の特効薬ではありません。
それだけでは解決が難しい課題であれば、冒頭の質問①に記載したようなカウント調査や、アンケート調査といった手法を組み合わせて解決をお手伝いします。
データ活用などでお困りごとがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。(お問合せ・ご相談はこちらから!)
最後は弊社の宣伝になってしまいましたが、位置情報ビッグデータは日進月歩でアップデートされています。
時代の流れに取り残されないように、少しずつでも勉強していきたいものです。
この記事を書いた人
泰良 和広
都市・交通系の部署に所属。専門統計調査士。データビジュアライゼーションに興味がある。