空き家バンクに登録してみた!

こんにちは。ライターの山村です。

実は、私事ですが、相続により地元に空き家を所有することになりました。
近年、空き家の増加は、社会問題の1つにもなっていますね。
また、個人としても、空き家の所有は、負担や心配事を抱えることにもなります。

そんな時に役立つのが、地方自治体が開設している「空き家バンク」です。
こうした資源をうまく活用することは、まさに当サイトのテーマである“行政との上手なおつきあい”にあたりますね。

今回は、私が、行政サービスの1つである「空き家バンク」を実際に利用した体験をご紹介したいと思います。

「空き家が増える」ということは?

まず、「空き家が増える」ということは、どういうことなのかを考えてみます。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」第一条には、次のような記載があります。

適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等のための対応が必要

つまり、空き家を放置すると、建物が老朽化して壊れたり、植栽が生い茂って不衛生になったり等、まわりの住民にも影響を及ぼすということですね。
さらに、放火、不審者の出入りなど、防犯面での悪影響も心配されます。

空き家が増え、空き家の放置が増えると、こうしたリスクが増えるということでもあるわけです。

「空き家を所有する」ということは?

次に、個人が「空き家を所有する」とは、どういうことなのかを考えてみます。

まずは、前項で指摘したリスクに対する責任を負うということです。
放置していた空き家が、防災や防犯上の問題を発生させた場合、それは他人事では済まされません。
そうしたリスクを回避するため、所有者は適切な管理を行わなければなりません。自身で管理できない場合には、管理委託等が必要な場合もあります。もちろん、その費用は所有者負担です。

そして、当然のことですが、固定資産税の負担が生じます。
立地が良く資産価値が高い場合、税の負担は高くなりますが、売却等の可能性も高くなります。
反対に、立地が悪い場合、税の負担は小さいですが、売却等の可能性も低くなります。
今日、「0円」で取引される空き家は珍しくなく、反対に売主がお金を付ける(買主がお金を受け取る)例も出始めているようです。

このように、空き家の所有は、個人にとっても大きな問題です。
私も同様でしたので、地元の自治体が運営している空き家バンクに登録してみることにしました。

空き家バンクの登録は簡単!

地元の自治体のホームページをみると、「空き家・空き地バンク」が開設されていましたので、休暇を利用して役所を訪問してみました。
私の場合、車で片道2時間強の道のりですので、それほどの負担ではありませんが、平日の窓口申請のみでは厳しい場合もありますね。
郵送で受け付けてくれる自治体もあるようですので、調べてみると良いかもしれません。

訪問した際の役所の対応は、とても丁寧でした。
事前連絡等は一切しておりませんが、「空き家バンクに登録したい」と伝えると、むしろ歓迎してくれました。
役所にとっても、空き家対策は頭の痛い課題ということなのだと思います。

基本的な手続きは、「登録申込書」への記入です。
そのほか、どのようにして空き家バンクを知ったのか物件はどこか住める状態か(住めないと判断された場合は登録できないらしい・・)、実務は仲介業者が担当することになるが希望する仲介業者があるか(私は「お任せ」にしました)等を質問されました。
また、後日、仲介業者とともに現地立ち合いが必要との説明を受け、連絡先を交換して手続き完了です。

概ね20分程度で済みました。
手続き自体はとても簡単という印象を受けました。

「住めることが必須」という条件が不安だったが・・・

役所で受けた質問のうち、最も不安だったのが「住める状態にあるかどうか」です。
私の物件は、住めることは住めるでしょうが、とても古いので少し不安でした。

後日、仲介業者さんとの現地立ち合いを行いました。
物件の古さや劣化箇所等をチェックする様子はほとんどなく、懸念事項であった「住めるかどうかの判断」は案外簡単にクリアできたようです。
また、こうした古い物件の取引は「現状渡し」が基本で、売主と買主が現状を見た上で合意し、取引するという説明を受けました。
つまり、瑕疵担保責任が生じない契約になるということです。
古いので、あとから不具合が生じても責任は持てないということですね。

その後、相場から坪単価を提示され、販売価格を決めました。
そして、購入希望者がいれば話を進めていただくようお願いしました。

その他、仲介業者に支払うのは、宅地建物取引業法で定められた範囲内の額の報酬(仲介手数料)のみであること、もし、物件の境界がわからなくなっている場合には、土地家屋調査士による調査が必要となるので、その場合には別途費用がかかることの説明を受けました。

登録から約1か月で「問い合わせ」!

以上の手続きを経て、物件情報が「空き家バンク」に登録されます。
私の場合は、登録から1か月程度で問い合わせがあったという連絡を受けました。
私の地元は、中部地方の“とある自治体”ですが、なんと関西から問い合わせがあったということです。

侮れないです、空き家バンクの有効性!

空き家を探している人は、いろいろな自治体の空き家バンクを参照しているようです。 

個別性が高いので、これ以上の具体的なお話は紹介できませんが、「空き家バンク」の効果が予想以上に高いというのが、利用してみた私の感想です。

最後に

空き家に悩む多くの自治体は、空き家の有効活用(取得や改修)や適切な管理のための補助等、様々な施策を用意しています。
基本的には、適切な管理が行われていない空き家を増やさず、有効に活用し、できれば住んでもらいたいというのが、すべての自治体に共通するテーマだと思います。 

空き家を売りたい方も、また買いたい方も、自治体が開設・運営する「空き家バンク」の活用は有効な手段だと思いますよ。

いろいろな補助事業等もありますので、ぜひ自治体に問い合わせてみてください!

この記事を書いた人

山村 靖彦名古屋事務所

コラバド編集者。自治体の計画策定コンサルタント。専門は社会福祉(社会福祉士)。

スポンサードリンク