交通量カウント調査とあわせて行う様々な調査について
こんにちは。ライターの泰良です。
交通量調査と聞くと、「交差点近くに人が座って車の台数をカチカチ数える調査」、いわゆるカウント調査をイメージする方が多いと思います。
その通りです。
ですが実は、そのようなカウント調査だけでなく、同じ交差点で同時に異なる調査を行っている場合があります。
そのことは意外と知られていないのではないでしょうか。
今回は交通量調査と同時に行うことがある様々な調査についてご紹介いたします。
カウント調査だけではダメなの?
カウント調査は、時間帯ごとの車種別・方向別の交通量(台数)や通行量(人数)を把握することができ、それだけで十分な場合もあります。
ですが、「実際にどの程度渋滞が発生しているか?」といった疑問にはカウント調査だけで回答することは難しいのも事実です。
しばしば渋滞が発生する十字の交差点を思い浮かべると、交通量の多い時間帯に渋滞が発生しそうなことは想像できると思いますが、交通量がそれほど多くなくても渋滞は発生する可能性があります。
例えば先頭の車両が右折をしたいけれども、対向直進車両が多いためになかなか右折できない場合です。
これを改善する例として、右折専用レーン(車線)を新たに設け、信号に右折矢印の時間を設けることなどが考えられます。
専門的な話はここではご説明しませんが、渋滞が発生する原因には交通量以外にも、信号や、レーン(車線)構成、車線の幅などが影響しています。
ここでは主な3つの調査について順を追ってご説明いたします。
①渋滞長調査
読んで字のごとく、渋滞の長さを測る調査です。
信号交差点における「渋滞長」とは、簡単に言うと、「車が青信号の間に捌き(さばき)きれない車列の長さ」です。
一方で、「滞留長」という似た言葉もあります。
これは「目の前の信号が赤になったとき、停止線から車列が延び、青信号になった瞬間の車列の長さ」のことをいいます。
ですので、滞留長は渋滞長よりも必ず長いということになります。
交差点を車が通過する限り、滞留長は必ず発生しますが、1度の青信号ですべての車両が交差点を通過できれば、渋滞長は発生しないことがあります。
では、これを測る調査とはどのようなものでしょうか?
調査員は車列の最後尾を目視で確認できるところに立ちます。
もちろん安全な歩道上などからです。
そして赤信号から青信号に変わった瞬間の車列の長さを滞留長として調査票に記録します。
青信号になると車列は短くなっていきますので、最後尾にいた車両を目視または実際に移動して追いかけます。
青信号から赤信号に変わった時にその車両が交差点を通過していなければ、その車両までの車列を渋滞長として調査票に記録します。
渋滞が発生するのが何時頃で、どの程度の長さなのか、どの方向なのか、という情報は、カウント調査だけではわからない交通状況を示す貴重な情報といえます。
②信号現示調査
「現示」は、“げんじ”と読みます。
信号には車両用と歩行者用があり、車両用信号は「青」→「黄」→「赤」に変化し、場合によっては「矢印」も表示します。
歩行者用信号は「青」→「点滅」→「赤」に変化します。
信号現示調査とは、そのような信号の状態がそれぞれ何秒間あるかを計測する調査です。
使用するのはストップウォッチです。
歩道上の安全ですべての信号が見える位置に立ち、青信号や赤信号の時間を目視しながらストップウォッチのラップ機能を使って、ピピッと計測します。
下図をご覧ください。
信号が示すひとつひとつの状態を「階梯(かいてい)」といいます。
この例だと12階梯ということになります。
また信号の変化が一巡する合計秒数のことを「サイクル長」といい、この例だと140秒ということになります。
時間帯によって信号現示が変化している交差点もあるため、時間帯ごとに観測することもあります。
とても複雑な信号現示もありますので、そのような交差点を調査する場合には熟練の技が必要になります。
③道路幅員調査
道路幅員とは車線や歩道などの幅のことです。
車線の幅は、車両が通過できるような幅に設計されていますが、交差点ごとに違いがあります。
その幅を、ウォーキングメジャーを使用して計測する調査です。
車線が複数あったり、複雑な形状だったり、交差点も様々です。
そのため、レーン(車線)構成などを含めた交差点形状を図にすることが必要になります。
車が赤信号で停まっているときなど、安全なタイミングで十分注意した上で、ウォーキングメジャーで計測します。
自動車が走る車線だけではなく、歩道、路肩、中央帯など、交差点の構造を把握するために様々な箇所を計測します。
どこを測ったらいいかわからない場合は、弊社にご相談ください。
おわりに
交通量カウント調査以外にも様々な調査があることをご紹介しましたが、一般的にはあまりなじみがないと思います。
交通関連の調査をご検討されていれば、弊社がお手伝いいたしますのでお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
泰良 和広調査部
都市・交通系の部署に所属。専門統計調査士。データビジュアライゼーションに興味がある。