出店希望者必見! “出店前の立地に関する調査”のお話
こんにちは、ライターの鈴木賢です。
はじめての執筆です。よろしくお願いします。
今回は、当社の交通部門が実施している『出店前の立地に関する調査』についてお話ししたいと思います。
出店前の立地に関する調査とは?
この調査は、『ある場所に出店したいのだけど、ここにお店を出して儲かるかしら。』という出店希望者の要望を受けて、出店前の立地に関する調査を行うというものです。
調査項目は、大きく分類すると下記のようになります。
①出店予定地の前をどのくらいの人や車が通っているか
②出店予定地の周辺にはターゲット(お店に来てくれる消費者)となる施設や住宅があるか
③出店予定地の周辺にはライバルとなるお店がどこにどのくらいあるか
④そのライバル店にはどのくらいの人が来店しているのか
1つずつ説明していきます。
①出店予定地の前をどのくらいの人や車が通っているか
お店を出店する場合、そのお店の前をどのくらいの人や車が通行しているかが最も重要です。
地元住民も通らないような裏道にお店を出しても、誰にも気づかれないからです。
もちろん、隠れ家的な居酒屋や洋服屋がわざと出店する場合もありますが、それは、調査の対象として考えた場合はレアケースといえます。
出したいお店に駐車場が確保できるかによっても調査の視点は変わります。駐車場がないのに自動車の交通量を計測してもあまり意味がありません。
ですので、出店を予定しているお店が何なのか、どのような来店方法を見込んでいるかによって調査メニューを設計する必要があります。
②出店予定地の周辺にはターゲット(お店に来てくれる)となる施設や住宅があるか
例えば、スーパーマーケット(以下SM)やコンビニエンスストア(以下CVS)の出店で、集合住宅と駅とを結ぶ生活動線に出店予定地がある場合は、駅に向かう時や帰宅時の買い物が見込まれる集合住宅に住んでいる人達がターゲットとなります。
同様に、出店予定地の近くに、会社、工場、役場、学校などがあれば、出社前やお昼休みの買い物客として呼び込むことが見込まれます。
大型ショッピングモール(以下GMS)などは、もっと大きな視点で考え、ターゲットが離れた場所から車で来店するための利便性、高速道路や国道との関係などを考慮する必要があります。
③出店予定地の周辺にはライバルとなるお店がどこにどのくらいあるか
出店予定地がどんなに条件の良い立地だったとしても、周辺に代替となる施設があれば売上は思うように上がらないかもしれません。
そこで、エリア内にどのようなお店があるかを調べます。
ファストフード店(以下FF)を出店するのであれば、弁当屋、CVS、SM、レストラン(以下R)がライバルとなりますので、位置関係、営業時間、駐車場の有無、店舗の広さ・規模、入口の入りやすさ、看板の視認性などが調査項目となります。
その他、薬剤・お酒・煙草などの免許品の取り扱いを調査項目に加える場合もあります。
『煙草を買うついでに昼食はCVSで購入しよう』という、あわせ買いも考えられるからです。
出店予定地を中心とするエリアの設定は、都心、郊外、駅前、住宅地といった条件を基に、業態に合わせて半径○○mというように決めます。
例えば、駅前であれば半径200m、郊外であれば半径1kmという具合です。
出店予定地が通り沿いであれば、通りの上り下り○○mという決め方もあり、出店予定地のロケーションによって検討が必要となります。
ライバル店と同じ通り沿いであれば、その上り・下りのどちらに出店するかによっても売上に影響があります。
動線として設定したエリア内を現地でくまなく調べます。
④そのライバル店にはどのくらいの人が来店しているのか
ライバル店に、どのくらいの来店があるのかを計測します。
その際、単純に人数だけを計測する場合もあれば、『時間帯』、『性別』、『年齢』、『来店手段』、『職業』、『家族構成』、『団体かどうか』という分類で計測する場合もあります。
出店予定の店舗がどのような層をターゲットにしているかによって、分類も検討する必要があります。
『来店すること』と『実際に購入していること』は必ずしも一致しませんので、トイレの有無も調査項目とする場合があります。
出店後の“売上予測”に重要な立地調査データ!
ここまで説明した情報等を用いて、実際にお店を開店した場合にどのくらいの売上になるかを予測します。
ここで注意しないといけないのは、立地は売上を考える上でとても重要な要素ですが、あくまでも『売上を構成する要素の一部でしかない』ということです。
店舗の売上を構成する要素は他にも様々あり、商品の品揃え、店員の接客態度、店内の清潔さ、商品力、ブランド力、駐車場が出入りし易いか、地域のニーズにマッチしているか、街並みなど多岐にわたります。
いくら立地が良くても、これらの条件を欠いてしまっては売上が上がらないかもしれません。
しかし、商品の品揃え、接客態度などは改善できる要素ですが、立地は、一度出店してしまったら簡単に変えることはできません。
その意味で、立地というのは大事な要素なのです。
まとめ
出店する際の判断基準として、立地はとても重要な要素です。
いくら品揃えが良く、接客が良く、清潔で入りやすいお店だったとしても、人や車が通らない場所に出店してしまうとお客様は入店しません。
出店前の立地に関する調査は、その土地のポテンシャルをはかり、出店後の売上を予想するためにとても有効です。
出店して失敗してからでは遅いので、まず出店前の立地に関する調査をぜひ行ってください。
この記事を書いた人
鈴木 賢調査部 都市マーケティング課
調査部都市マーケティング課所属。 趣味はジョギング、ロードバイク、サッカー。 全ての公道に自転車用レーンが整備されれば良いなぁと切に願っています。