当社が今、”いじめ予防”に注力する2つの理由!
こんにちは、ライターの山村です。
当社は今、学校におけるいじめの予防に関心をもって取り組んでいます。
この度、公益社団法人子どもの発達科学研究所(以下、研究所)と連携して、「子どものための学校調査(学校風土いじめ調査)」の販売を開始しました。
今回は、弊社が「なぜいじめの予防に注力して取り組んでいるのか」についてお話したいと思います。
“いじめ予防”に注力する2つの理由
弊社が“いじめ予防”に注力する理由は、以下の2つです。
①科学的な根拠に基づき、いじめ予防に取組めるようになってきたから
②子どもの発達を支援する視点から、いじめ予防は重要な課題であるから
以下、1つずつお話いたします。
理由①:科学的根拠に基づくいじめ予防が可能だから!
1つめの理由は、科学的な根拠に基づき、いじめ予防に取組めるようになってきたからです。
つまり、“予防できるから!”ということです。
これまでは、いじめは無くせないというイメージがあったか思います。
そのため、いじめ対策のほとんどが、「予防」ではなく、発生したいじめへの「対応」に終始してきました。
しかし、研究所の和久田学主席研究員は、著書『学校を変える いじめの科学』において、
いじめに関する研究は世界中で行われており、科学的根拠のあるいじめ対応法が開発され、その効果が検証されている
と記載しています。
つまり、世界では、エビデンス(根拠)があるいじめ対策が開発され、既に現場に導入されているということですから、これを使わない手はありません!
いじめはを「予防」するためには、すべての子どもを対象とした支援が必要となります。
図1のとおり、実際に発生したいじめに関わる子どもたちは全体の5%弱にすぎません。
つまり、発生したいじめへの「対応」だけでは、他の95%の子どもたちには何の支援も行われないことになります。
これでは、いじめを予防することはできません。
95%の子どもたちの中から、新たないじめが発生するのは時間の問題です。
したがって、図1のとおり、子ども全体への支援(ユニバーサル支援)を通じて、いじめなどの問題を起きにくくする一次予防への取り組みが重要だと考えています。
なお、いじめなどの問題が起きにくい学校とは、わかりやすく言えば“雰囲気の良い学校”です。
この、学校の雰囲気のことを「学校風土」といいます。
研究所が参加している、文部科学省の「子どもみんなプロジェクト」で実施された調査では、学校風土がよくなると、いじめの被害や加害などのリスクが低下することがわかっています。(図2参照)
この知見を活用して当社は、学校風土の改善に効果的な「子どものための学校調査」の実施を提案しているわけです。
理由②子どもの発達上、重要な課題だから!
2つめの理由は、子どもの発達を支援する視点から、いじめ予防は重要な課題であるからです。
いじめの被害者も加害者も、さらにはいじめを見て見ぬふりをしてきた傍観者も、本人の発達に深刻な影響を受けることがわかっています。
図3のとおり、子どもの周りには、子ども自身の発達に影響する因子が多く存在しています。
いじめ、体罰、孤立、虐待、貧困(子どもの貧困)、発達障がいなどは、子どもの発達における危険因子であり、それらの影響が大きいと、不登校、ひきこもり、暴力などの問題につながることがわかっています。
したがって、1つでも多くの危険因子を解消して子どもの健全な発達を支援する視点が必要です。
そのため弊社は、いじめ予防に注力しています。
ちょうど今、全国の自治体では「子ども・子育て支援事業計画」の見直しが進んでいるところであり、弊社も支援させていただいております。
この計画のめざすところは、まさしく“子どもの健全育成”。
いじめをはじめとする様々な危険因子への対策は、この計画においても無視できない課題です。
「子どものための学校調査」
以上の2つの理由から、当社は今、“いじめの予防”に注力した調査パッケージである「子どものための学校調査」を提案しています。
調査の具体的な流れは以下の通りです。
・まず「調査」を実施して、学校風土およびいじめの現状を把握します。
・次に、「調査」で把握された課題を踏まえて、学校風土の改善のための実践プログラムを検討し、実際に学校現場で「実践」していただきます。
・最後に、もう一度「調査」を行い、「実践」の効果を確かめます。
この調査を実施して、実際に学校風土の改善効果があった事例については、以前の記事で紹介していますのでご参照ください。
(科学の力でいじめをなくす② ~科学の力で学校が変わります!)
このサイクルを継続して、雰囲気のよい学校を実現し、そして継続していただけるよう願っています。
「子どものための学校調査」について詳しくお知りになりたい方は、こちらまでご連絡いただければ幸いです。
<参考文献>
和久田学、2019、『学校を変える いじめの科学』日本評論社
この記事を書いた人
山村 靖彦名古屋事務所
コラバド編集者。専門は社会福祉(社会福祉士)。 数多くの行政計画策定を支援してきた経験から、いろいろな提案をしていきたいと考えています。