”教師間のいじめ”が子どもに及ぼす影響とは?

2019.10.16

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政策のおはなし

 

こんにちは、ライターの山村です。
先日、教師間のいじめ問題について、神戸市の教育委員会が謝罪会見を開きました。

20代の教師に対して、30代から40代の先輩教師が、身体的な暴力や暴言、性的ないやがらせなどを内容とするハラスメントを行っていたという内容です。

ハラスメント行為の具体的な内容はここでは紹介しませんが、自立した成人が後輩に行う内容とはとても思えないものばかりでした。

いじめが深刻化する要因には、①アンバランスパワー②シンキングエラーがあるとされています。
今回の事例にも、アンバランスパワー(力の強い先輩教師による後輩教員へのいじめ)シンキングエラー(俺は、こいつにこれくらいのことをしてもOKなんだ!という思い違い)があったように感じられます。

もし、加害教師にこのような知識があり、自らのシンキングエラーを少しでも自覚できたなら、後輩教師をいじめるようなことはなかったかもしれません。
その意味では、この不幸な事例からも、“学習することがいじめ予防に効果的”であることを再認識させられた気がします。

学校に限らず、社会のいろいろな場面で「力を持っている人」は、特に真摯に学ぶ姿勢が必要なのだと思います。

さて、今回は、この不幸な事例をきっかけとして、“教師間のいじめが子どもにどのような影響を及ぼす可能性があるのか”について考えてみたいと思います。

(1)加害教師は、子どものいじめのモデルになる

まず、加害教師は子どもの「いじめ加害行為」のモデルとなる可能性があります。
つまり、教師が“悪いお手本になる”ということです。

子どものいじめ行動には、その子どもの身近にシンキングエラーに基づいた行動をするモデルが存在している可能性が高いとされています。

もし、教師自身がいじめを行っているのであれば、子どもに与える影響は絶大でしょう。

本来、学校は、子どもたちが健全に成長するために必要なことを教えるところです。
先生方も、子どもたちにとって良い影響を与えたいと思っているはずですから、教師が「いじめ加害」の手本となるような事態は防がなければなりません。

そのためには、教師自身がいじめに関する正しい知識を持つことが何より大切です。
今回の事例のような「いじめ加害教師」は極端な例ですが、そこまでいかなくても、教師の子どもたちへの接し方や些細な言動などが、気づかないうちに子どもたちに良くない影響を与えてしまうこともあります。

教師の一言が引き金となって、子ども間のいじめが発生することさえありますから、常に学習し、正しい知識を身につけていくことは本当に重要なことなのです。

(2)被害教師が担任するクラスは、いじめが多くなる

実は、いじめを受けている教師(被害教師)が担任するクラスでは、子どものいじめが発生しやすいというデータがあります。
教師のみなさんには、こうした事実も知っていただき、教師間のいじめが子どもたちのいじめに直結するという認識を持っていただければと思います。
教室外やオフタイムにおける教師間のいじめであったとしても、それは子どもたちに悪い影響を及ぼすということを知っておく必要があります。

以上、(1)、(2)の2点を見るだけでも、教師間のいじめはあってはならないことであるとの認識を新たにすることができると思います。

“学ぶこと”は最大の予防策!

冒頭でも触れたとおり、“学習を通じて正しい知識を持つ”ことは、いじめを予防する上で非常に重要なことです。

学ぶことは、行動を変えることですから、子どもも大人も、学び続けることで、自らの適切な行動を増やしていく努力が不可欠なのです。

ところで、いじめについての正しい知識とは、どのようなことなのでしょうか。
子どもをとりまく大人たちが知っておくべき知識を、大きく3つの視点から整理してみました。

まずは「予防」のための知識。
そして、日常の中で子どもたちの衝突が生じても「いじめに発展しない」ための知識。
最後に、残念ながら生じてしまった「いじめに適切に対応する」ための知識です。

それぞれの詳細は、以下のような内容になると考えています。

①いじめを予防するための知識

・いじめの発生要因、いじめが深刻化する要因に関する知識
・ルールなど、学校運営の影響に関する知識
・学校風土の改善がいじめ予防に効果的であるという知識
・学校風土を改善するための方法に関する知識
・加害者が有する背景要因に関する知識
・教師の行動の影響に関する知識
・いじめの被害者、加害者、傍観者の予後に関する知識 

②子ども間の衝突がいじめに発展しないよう支援するための知識

・子ども間の衝突がいじめに発展しないスキルを教えるための知識
・子どもがSOSを発することができるよう支援するための知識
・子どものSOSを見逃さず、適切に支援するための知識 

③いじめが発生したときの対応に関する知識

・被害者を支援するための知識
・加害者を支援するための知識
・傍観者を支援し、成長させるための知識

いかがでしょうか。
みなさんは、これらの内容について、明快な答えや方向性をお持ちでしょうか。
もし、明快な答えや方向性がない方は、ぜひ学習機会を見つけていただきたいと思います。 

ちなみに、当社がご案内している「子どものための学校調査(学校風土いじめ調査)」の中で実施する教職員研修では、これらの内容の一部を扱っていきます。 

また、当社が連携しております「公益社団法人子どもの発達科学研究所」では、上記の内容を含む様々な研修機会を提供してくれています。

まとめ

今回は、教師間のいじめ問題というニュースを契機に、教師間のいじめが子どもたちに与える影響について見てきました。

今回は、以下の2点をご紹介しました。 

①教師のいじめ行動は、子どものいじめのモデルになってしまうこと
②いじめを受けている教師のクラスでは、子どものいじめが発生しやすいこと 

こうした事態を防ぐためには、学習による正しい知識を身につけることが大事であり、具体的内容として以下の3点を紹介いたしました。 

①いじめを予防するための知識
②子ども間の衝突がいじめに発展しないよう支援するための知識
③いじめが発生したときの対応に関する知識 

これを機会に、皆さんが積極的に学んでくださることを心から願っています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

<参考文献>
和久田学、2019、『学校を変える いじめの科学』日本評論社

この記事を書いた人

山村 靖彦

コラバド編集者。 専門は社会福祉(社会福祉士)。 数多くの行政計画策定を支援してきた経験から、いろいろな提案をしていきたいと考えています。

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