コロナ禍における働く意識の変化に関する基礎調査「①教育研修の実施状況・参加意向」(シリーズ全6回)
こんにちは。忍者の末裔のライターの柘植です。
新型コロナウイルス感染症の流行により、企業によってBCPの見直し、テレワーク・リモートワークの導入等の検討・推進から、あらゆるオペレーションのDXの推進が行われています。その一方で、従業者側もコロナ禍での働く意識が変容しています。
そこで、この度、当社でコロナ禍における働く意識の変化に関する基礎調査(自主調査)を行い、調査結果を公開しましたので、そのお知らせです。
以下の内容を取りまとめており、今回は「①教育研修の実施状況・参加意向」についてご紹介します。
コロナ禍における働く意識の変化に関する基礎調査シリーズ(全6レポート)
今回ご紹介→①教育研修の実施状況・参加意向
②転職時のきっかけや経緯、転職により悩みが解決されたか
③社内で尊敬できる・影響を受ける人の特性と何に影響を受けるか
④企業内の感染症対策実施状況
⑤業種別・規模別・職位別・年次別・転職経験別の額面年収の状況
⑥業種別の働くマインド傾向
企業・団体のリカレント教育(リスキリング)の実施状況
リカレント教育の実施状況は、全業種平均※1で29.1%が実施していました。
業種間で相対的に実施率が高いのは「メーカー」や「公務」となっており、低いのは「流通小売」、「サービス業」となっています。
専門性が付加価値に転嫁しやすい業種は、実施率が高いという仮説が立てられます。
また、従業員規模別では、30名前後で実施率に開きがありました。30名を超えると、従業員のスキルの棚卸や見直しなどの必要性が迫られている可能性があります。
※1:「メーカー」、「IT・通信系」、「流通小売」、「サービス業」、「医療」、「公務」各400件のデータのため、全業種の平均ではありません。
リカレント教育(リスキリング)の実施目的
リカレント教育を実施する目的は、全業種平均では「若手人材の育成のため」が11.5%と最も高く、以下、「生産性や業績の向上のため」が8.1%、「中高年のリスキリング(知識やスキルのアップデート)のため」が7.6%、「人的ネットワークの構築のため」が7.3%と続いています。
従業員規模別では、「1000名未満」は「企業全体の事業構造の転換(事業分野の転換等)のため」が12.1%と全体に比べて高く、既存の人材・人財を如何に活用するかで悩まれている様子がうかがえます。
従業員の教育研修の利用・参加意向
逆に、従業員側がどのように考えているかを見てみます。
全業種平均で「利用・参加意欲あり」が50.4%、なしが49.6%と拮抗しています。
いわゆる「意識高い系」的な人は半分、という結果です。
実施率と比例し、「メーカー」や「公務」、従業員規模が大きい企業・団体の希望率が高くなっています。
学歴別では、「大学院」が62.7%、「大学」が56.6%、「短大・高専・専門」が42.2%、「中学・高校」が31.2%となっています。
スキルを身に付けることで得られる個人的なメリットが「見えている」人はスキルアップに積極的なのではないでしょうか。
入社年次別では「2~3年目」が最も高く61.4%、「20年目以上」が最も低く36.0%となっています。年次が高い人のリスキリングについては、その意欲を高めるために、どのようにインセンティブを設けるかも課題になっていることが想像されます。
求められる研修・スキルアップ支援制度
実施率も、利用参加意向率も高いのは、「資格取得の支援(費用負担、学習機会)」や「教育プログラム受講への経済的な補助」、「教育プログラム受講等に利用できる休暇制度・時短勤務制度」などとなっています。
(全体の10%から18%、参加意向者のみに絞ると20~35%前後)
また、利用・参加意向が高いが、実施率が低いのは「教育・スキルアップ目的の出向・一時転籍」となっています。
(いずれも参加意向率は10%強、実施率は3~5%)
やはり「資格取得」や「プログラム受講」などの「パッケージ」に傾倒している様に感じます。
調査会社が考えてみる「キャリア」論
一般的に「キャリア」というと、「職歴」や「資格」、「過去の業務実績」をイメージされると思います。
語源は通性ラテン語では「carrus:車輪の付いた乗り物」、その乗り物が付けた轍が「career:車道」と言われています。その後、英語だと競技場などのトラックやコースを意味するものとなりました。
つまり、語源的には過去歩いてきた道=経歴となります。
皆さんの会社の中で、何らかの業務に誰かをアサインする時に、「あいつ●●に興味を持っていたな」とか、「あいつ、○○の資格持っていたな」とか、「あいつ、■年前に◇◇の案件やっていたな」とかで決められることがあると思います。
その「●●」や「〇〇」をつないでいくと道(轍)になり、その道の先の方向に向かいたいんだなと周りが認識し、アサインしたり評価したりするのだと思います。
その中で、分かりやすいものが「職歴」や「資格」となるわけですが、アサインする/されるときは、「趣味」や「人脈」なども参考にされ、それらも含めて「キャリア」になるのだと思います。
一度、「職歴」や「資格」等以外で、自分の「キャリア」にはどのようなものがあるのかを整理し、線でつないだら、自分がどこに向かっているのか分かると思います。
(その先が崖になっている場合は、方向転換が必要ですね)
リスキリングを提供する方も、提供される方も、一度、棚卸をしてみてはどうでしょうか。
話がそれましたが、「①教育研修の実施状況・参加意向」の詳細は下記から、ぜひ、ご覧になってください。
コロナ禍における働く意識の変化に関する基礎調査シリーズ(全6レポート)
「①リスキリング・リカレント教育・教育研修の実施状況・参加意向」
調査の概要
- 調査地域:日本全域
- 調査対象:以下の業種の企業・団体に正社員として従事する20~59歳の有業者(「メーカー」、「IT・通信系」、「流通小売」、「サービス業」、「医療」、「公務」)
- 調査方法:インターネット調査(インターネットリサーチモニターに対するクローズド調査)
- 有効回答:2,400件(400件×6業種(うち各業種転職経験者100件))
- 調査期間:2022年11月9日(水)~11月14日(月)
調査結果に関心のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください!
この記事を書いた人
柘植 航大
何が得意で、何をやっているのか分からないのがいいんだよね。