調査の大前提! 良い調査設計と悪い調査設計とは⁉
こんにちは、ライターの田原です。
これまでの記事で「調査票の設計が大事!」と何度も書いてきたかと思いますが、今回は調査票の出発点である調査設計についてご紹介したいと思います。
調査設計とは?
調査はただ何となく行うのではなく、その背景には必ず「知りたいこと」があるはずです。
その知りたいことを明らかにするために適切な調査設計を行う事が必要です。
調査設計という言葉は、コトバンクのブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説では以下のように説明されています。
だれ (調査対象) に対して,何を (調査項目) ,どのような方法 (調査法) で調査するかの計画を立てること。
これはとても分かりやすいですね。
・調査対象
・調査項目
・調査法
の3点を明らかにするということです。
2点目の「調査項目」は調査票設計の範疇となるので、今回はそれ以外の「調査対象」と「調査法」について具体的に考えていきます。
調査対象
「調査対象」とは、「だれに対して調査をするのか」です。
“○○市民の福祉に関する考え方を知りたい!” という場合、調査対象は
“○○市民”
となりますね。
調査対象なんて少し考えればわかるでしょ!
と思うかもしれませんが、意外と気付かずダメな調査をしている例もあります。
具体的に実例は出しませんが、考えられる“あるある”な間違いは以下のようなものです。
”自動車免許を取得しない理由を把握するために、自動車教習所に来ている若者にインタビュー調査を行った”
これは、簡単ですね。
自動車教習所に来ている以上、自動車免許を取得しようという意思があるはずですね。
では、少し難しい例を挙げてみます。
”介護離職が問題になっており、介護離職の要因を明らかにしたい。そこで、要介護度3以上の高齢者を対象に調査を行うことで、在宅介護の問題点を明らかにする。”
これは、介護離職の要因を知りたいという思いが先走ってしまった感じがありますね。
ダメなところは、「要介護度3以上の高齢者を対象に」というところです。
介護離職するのは、介護されている高齢者ではなく、介護者なので、「要介護度3以上の高齢者の介護をしている人」を対象にしないと、知りたいことはわかりませんね。
このように、誰に調査をすればよいのかというのをしっかり考える必要があります。
調査法
「調査法」とは、「どのような方法で調査をするか」ということです。
調査法には 、郵送調査、ウェブ調査、インタビュー調査等色々な方法があります。
調査をする際には、どの調査法が適切であるかをきちんと考える事が必要です。
では、とても有名で簡単な例をひとつ。
“インターネットの利用状況を把握するために、ウェブ調査を実施した。”
これは、結構インターネット上で出回っている面白い例ですね。
答えは簡単です。
インターネットの利用状況なのにウェブ調査、すなわちインターネットを用いた調査をしてしまえば、利用率は100%になるのは調査をせずともわかります。
むしろこれで98%みたいな100%以外の結果が出たほうが怖いです。
では、ちょっと難しいものを。
“世帯収入の状況を把握するために、訪問面接調査を行った”
訪問面接調査とは、調査員が直接対象者のお宅に伺い、回答を聞き取る調査方法です。
世帯収入というあまり知らない人に言いたくないテーマを訪問面接調査でやってしまうと、回答拒否や虚偽の回答が増えそうなのは想像できますね。
この場合は、訪問面接調査ではなく、郵送調査や訪問留め置き調査の方が適切です。
終わりに
今回紹介した例は、わかりやすいものだったと思いますが、あまり深く考えずに調査を行うと、調査設計ミスを起こしてしまう事が多々あります。
調査は一度開始してしまうとやり直しできないことが大半なので、調査を行う際は調査設計をきちんと考え、問題がないかを複数の目でチェックすることが重要です。
皆さんも調査をする際は、
・調査対象
・調査項目
・調査法
の3つをきちんと考えるようにしましょう。
この記事を書いた人
田原 歩
最強の男