『自立支援』を促すケアプラン 〜ケアプランチェックの重要性~

2020.11.18

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福祉のおはなし

こんにちは、ライターの田志です。
さて、介護保険サービスを利用されている方ならば聞いたことのある『ケアプラン』。
ケアプランが一体どういうもので、何のためにあるのかご存知でしょうか?
今回はケアプランの重要性、ひいてはケアプランチェックについてお話したいと思います。

ケアプランとは

ケアプランとはその名の通り、介護保険サービスを利用するために予め立てる計画のことを指します。
介護保険は医療保険とは異なり、計画を立て、その計画に沿ってサービスを利用するものです。

では、誰がそのケアプランを立てるのでしょうか?

答えは――……介護支援専門員の方です。
※自己作成は特殊な例になりますので、今回は割愛します。 

介護支援専門員よりも「ケアマネジャー」といった言葉の方が、聞き馴染みがあるのではないでしょうか。

介護支援専門員のお仕事は、要介護者または要支援者からの相談に応じて、心身の状況等を踏まえた上で、適切な介護保険サービスが利用できるように連絡調整等を行うことです。
“適切な介護サービスが利用できるよう”、介護支援専門員は要介護者または要支援者の心身の状況等を踏まえて、ケアプランを作成するのです。

ケアプランの種類

さて、一口にケアプランといっても、実は3種類あります。
居宅サービス計画書、施設サービス計画書、介護予防サービス計画書――これらを纏めて呼び表したいときに、『ケアプラン』という言葉を使うことが多いです。

居宅サービス計画書

居宅サービス計画書とは、居宅サービスを利用するために立てる計画書のことをいいます。
では、居宅サービスとは何を指しているのでしょうか?
答えは、介護保険法 第8条第1項に記載されています。

・訪問介護
・訪問入浴介護
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
・通所介護
・通所リハビリテーション
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・特定施設入居者生活介護
・福祉用具貸与及び特定福祉用具販売

上記の介護保険サービスのことを居宅サービスといいます。
よって、居宅で生活をしている要介護者に対して立てる計画書が居宅サービス計画書になります。

施設サービス計画書

施設サービス計画書とは、施設サービスを利用するために立てる計画書のことをいいます。
では、施設サービスとは何を指しているのでしょうか?
答えは、介護保険法 第8条第26項に記載されています。

・介護福祉施設サービス
・介護保健施設サービスおよび介護医療院サービス

上記の介護保険サービスのことを施設サービスといいます。
よって、施設で生活をしている要介護者に対して立てる計画書が施設サービス計画書になります。

介護予防サービス計画書

介護予防サービス計画書とは、要支援者が介護保険サービスを利用するために立てる計画書のことをいいます。
では、介護予防サービスとは何を指しているのでしょうか。
答えは、介護保険法 第8条の2第1項に記載されています。

・介護予防訪問入浴介護
・介護予防訪問看護
・介護予防訪問リハビリテーション
・介護予防居宅療養管理指導
・介護予防通所リハビリテーション
・介護予防短期入所生活介護
・介護予防短期入所療養介護
・介護予防特定施設入居者生活介護
・介護予防福祉用具貸与および特定介護予防福祉用具販売

上記の介護保険サービスのことを介護予防サービスといいます。
よって、居宅で生活をしている要支援者に対して立てる計画書が介護予防サービス計画書になります。

ケアプランの重要性

ところで、みなさんはご存知でしょうか。
介護保険制度が始まった頃のケアプランは、利用者の「現状への対応」という性格のものでしたが、今日では「予防・自立支援」という視点を重視する方向へと変化してきています。

介護保険を取り巻く現在の状況に関しては、『介護には、こんなにお金がかかっている! あらためて知ろう、介護保険制度のこと』が分かりやすいので、ご覧ください。

端的に言うと少子高齢化社会のため、介護保険料は増加する一方となっています。
そこで、『状態が悪くなってから必要な介護保険サービスを利用する』のではなく、『状態が悪くならないよう、未然に防いでいこう』といった方向へと向かっている経緯があります。

ここで、話をケアプランに戻します。
ケアプランが目指すところは、『自立支援』です。
具体的にいうと、『介護保険サービスを利用している方の身体機能がそれ以上悪化しないように、または改善するように』計画を立てることが必要です。
自立支援を促すケアプラン、ケアマネジメントのために、介護保険者が行っている取組の一つとして、『ケアプランチェック』があります。

ケアプランチェックとは

ケアプランチェックとは、介護保険者が介護支援専門員に対して「自立を促すケアプラン、ケアマネジメント」を実行しているかどうか確認をする取組のことを言います。
介護支援専門員の気づきを促すためのものであり、介護保険者と介護支援専門員が協力しながら、よりよい介護保険サービスの提供を目指すために行われます。

 イメージしやすいように、少しだけ例を挙げます。

図の例の場合、サービス利用者の身体機能を確認して、自立支援の側面から生活援助が適切であったのかどうか確認を行っていくこととなります。

 サービス利用者の「――してほしい」を踏まえて、なぜ「――してほしい」とそう思ったのか。
身体機能の低下が理由だとしたら、サービス利用者の要望をそのまま計画に反映させるだけでいいのか。
加齢と共に更に落ちていくであろう身体機能の維持に繋がる計画を立てる必要性はないのか。

こうした 深掘りを繰り返していくことが、自立支援に繋がるケアプラン作成の第一歩になります。

まとめ

・介護保険サービスを利用するには、ケアプランが必要。
・ケアプランには3種類(居宅サービス計画書、施設サービス計画書、介護予防サービス計画書)ある。
・介護支援専門員の仕事は、適切なサービス提供のために連絡調整等を行い、ケアプランを立てること。
・ケアプランチェックとは『自立を促すケアプラン、ケアマネジメント』の第一歩である。

介護保険者、介護支援専門員、介護保険サービス利用者、そしてそのご家族の皆様。
今後も介護保険制度を支えていくために、必要なことは『目指すところの共有』だと、一個人として私は思っています。

 それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

Ayaka Tashi

駆け出し調査員。 誰かの手助けになるようなコラム執筆を志します。

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