『青森県子どもの発達支援ガイドブック』を作成しました!

2022.06.01

8

福祉のおはなし

こんにちは、ライターの山村です。
今回は、昨年度に弊社が作成・編集に関わらせていただきました、『青森県子どもの発達支援ガイドブック』をご紹介したいと思います。

このガイドブックは、保育所、幼稚園、認定こども園、小学校などの“子どもが通う場所”や各種支援機関等で、「気になる子」への支援を行う際に参考となる情報を提供するために作成したものです。
国立大学法人弘前大学と青森県の監修の下、青森県発達障害者支援センター「ステップ」が発行しています。

とても良いガイドブックができたと思いますので、内容を少しご紹介したいと思います。
興味をお持ちいただけた方は、ガイドブック全体版を下記よりダウンロードできますので、ぜひご活用ください。(どなたでも無料でダウンロードしていただけます。)

青森県発達障害者支援センター「ステップ」ホームページよりダウンロード!
青森県ホームページよりダウンロード!

『青森県子どもの発達支援ガイドブック』は、令和2~3年度弘前大学次世代機関研究「地域と協働して子どもの健やかな発達を明らかにする乳幼児コホート研究」、令和3年度青森県発達障害者支援センター運営事業(青森県委託事業)及び令和3年度青森県発達障害者支援体制整備事業(青森県委託事業)の一環で作成したものです。

こんな時に使ってもらいたい!

先述のとおり、このガイドブックは、教育・保育現場の保育士さんや先生方に活用していただくために作成したものです。
幼稚園、保育園、認定こども園、小学校などの現場で「気になる子」がいる時に、どう接したらいいのか、どう支援したらいいのかということを考えて実践していただく際の参考資料になればとの思いで作成しています。
また、「気になる子」の背景には発達障害などがある場合が多いため、本書では主な発達障害の内容、特性、子どもへの接し方なども解説しています。

「気になる子」とは?

本書では、「気になる子」という言葉を随所に用いています。
「気になる子」とは、たとえば、いつも1人で遊んでいる子、じっとしていることができない子、思い通りにならないと怒る子など、その様子は様々です。

本書では、気になる子の具体的な様子を、「集団行動がうまくできない」「友だちとうまく関われない」「気持ちのコントロールがうまくできない」「落ち着きがない・集中力がない」「その他」の5つに分類し、さらに下表の14項目に整理しました。

子どもの「行動」に着目した支援を!

本書は、前項の14項目に思いあたる点がある場合、具体的な支援方法を考えるための情報を記載したページに進んでいただく形をとっています。
また、本書は、子どもへの支援の前提として、子どもの「行動」に着目することを基本としています。
心などの人の内面は客観視できませんので、客観視できる“具体的な行動”に着目することが大切です。

しかしながら、14項目の“子どもの気になる様子”には、「○○できない」「○○しない」というものが多くみられます。
この、“できない”、“しない”ということは「行動」ではないということに注意する必要があります。

具体例を見てみましょう。
下図の「①指示を理解することが難しい」という様子は、“指示を理解できない”ということですから、これは「行動」ではありません。子どもの内面は客観視できませんので、何を根拠として子どもが“指示を理解していない”とするのかが重要です。

そこで本書では、たとえば「先生に指示された、その時間の活動以外のことをする」という「子どもの行動」に着目し、なぜそのような行動をするのかを考えてみるという方法を提案しています。
これは、応用行動分析(ABA)という方法に則ったものです。

指示を理解できない子どもは、自分が指示されていることがわかっていないのかもしれません。
その場合は、先生が、その子にわかるように指示してあげることが大切です。
また、外の様子が気になって先生のお話に集中できていないのかもしれません。
その場合は、「外ばかり見ている」という子どもの行動が観察されるかもしれませんから、外の様子が見えないようにカーテンをする等の環境面の工夫が大切です。

このように、子どもの「行動」に着目し、なぜそのような「行動」をするのかを考え、一人ひとりの理由や背景に寄り添って適切に支援していくことが必要です。
同時に、支援を通じて子どもの成長を促す視点も大切です。

日頃の支援の「基本的な6つのポイント」を提案!

本書では、子どもの具体的な「行動」に個別に着目した支援だけでなく、日頃の支援の基本的な6つのポイントを提案しています。
これらは、子どもの発達障害の有無などに関係なく、全ての子どもに対して日頃から意識して取り組む基本的なポイントです。
6つのポイントの概要は下図のとおりです。ガイドブックでは、6項目それぞれの内容を説明したページを別途設けています。

たとえば、「①その子に合った支援をしよう!」では、まずは子どもの行動を観察し、行動の理由を考えた上で支援し、その支援が効果的であったかどうかの評価を記録に残して組織内で共有するということを提案しています。
また、「④達成感を持たせよう!」では、子どもを上手に褒めて達成感を持たせること、大人がお手本を見せてまねをさせ、感情コントロールを体験させること等を提案しています。

その他にも、有効な情報がいっぱい!

今回は、弊社が作成・編集に関わらせていただいた『青森県子どもの発達支援ガイドブック』を紹介いたしました。
今回ご紹介した情報以外にも、「子どもの発達の様子」、「園での支援」、「就学について」など、多様な情報が掲載されています。
また、青森県下の各種機関の情報も掲載されていますのでご参照ください。

本書への記載内容は、青森県に限らず、全国どこでもご活用いただける情報だと考えています。
下記よりダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

青森県発達障害者支援センター「ステップ」ホームページよりダウンロード!
青森県ホームページよりダウンロード!

また、独自のガイドブックを編集されたいという自治体ご担当者様からのご相談もお待ちしております。
こちらからご連絡ください。

なお、このガイドブックには、当社がご提供する、5歳児の発達障害のアセスメントツール「ここあぽ」も掲載しています。
「ここあぽ」については、以下の記事でも紹介していますのでご覧ください。

発達障害の早期アセスメントとは? 〜アセスメントツール「ここあぽ」のご紹介〜

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

山村 靖彦

コラバド編集者。専門は社会福祉(社会福祉士)。 数多くの行政計画策定を支援してきた経験から、いろいろな提案をしていきたいと考えています。

スポンサードリンク