足して2で割るだけじゃない!? もうひとつの平均“相乗平均”を理解しよう!

2016.11.22

4

統計のおはなし

%e8%a1%a8%e7%b4%99%e7%94%bb%e5%83%8f%e7%94%a8

こんにちは!ライターの小林です。

いきなりですが、問題です。
以下に、A町~C町の人口データがあります。
平均値をお答えください。

まち 人口
A町 10万人
B町 20万人
C町 15万人

 

答えは簡単、15万人ですね。

さすがに間違えた人はいなかったでしょう!

続いて、こちらはどうでしょう。
例えばある基準年から見た、ある地区の人口増加率です。
3年間の人口増加率の平均はいくつでしょうか?

人口増加率(対前年比)
1年目 1.1倍
2年目 1.9倍
3年目 1.5倍

 

答えは・・・1.5倍?

そう回答されたあなた! この続きを見て私と一緒に勉強しましょう!
「足して割る」だけが平均値ではないのです。

変化率など、掛け算の場合の平均“相乗平均”!

足して、足した数で割る平均には名前があり、「相加平均(算術平均)」と言います。

一般的な平均といったらコレですね。説明不要です。

一方、今回の“人口増加率”のように、一定期間の変化率等の平均を求めるためには、
「相乗平均(幾何平均)」を使います。

計算の数式はこちら。

数式を見て脱落しないでくださいね。

なぜ掛けてルートにすると平均になるのか?

例題で順番に考えます。

下の図のように、基準値χが、α1倍、α2倍、α3倍していくと、χ3になることが分かっています。

χをA倍するとχ3になることも併せて考えます。

%e5%9b%b31

α1、α2、α3は、それぞれχの変化率だと考えるとイメージしやすいかもしれません。
ここで気付くと思いますが、【×A】と【×α1×α2×α3】倍は同じであることが分かりますね。

数式にするとこんな感じ。

%e5%9b%b32

両辺とも①と②に【χ】をかけているだけなので、答えは同じはずですね。

今、②のα1とα2、α3はそれぞれ違う数字を仮定しています。

この平均を考えるためには、

どのような同じ値を3回掛ければ【A】になるのか?を考えればいいことになります!

%e5%9b%b33

ルート(√)の復習

ちょっと寄り道してルート(√)の復習です。

√100の答えは分かりますか?
正解は【10】ですね。
頭の中でどんな計算をしましたか?

「えーっと、同じ数同士を掛けて(2乗して)【100】になる数だから・・・」

おそらくこんな感じでしょう。

2乗したらある値になるもの、
これを√で表記するということでした。

3乗したらある値になるもの、これも√で表現できることを覚えていますか?

表記はこんな感じ。

%e5%9b%b34

これは、3乗したら8になる数を表現しています。
答えは2ですね。

※n乗してAになる数を【Aのn乗根】と言います。

詳しく知りたい方は“累乗根”で調べてみてくださいね。

累積根は掛け算の平均値!

・・・・ところで、勘の良い方は気付いたでしょうか?

「いったい何のこと?」という方、

この数式をみて何か気付きませんか。

%e5%9b%b35

そう!

Aのn乗根とは「どのような同じ値をn回掛ければAになるのか」という考え方でした!

先ほど残した課題、
「どのような同じ値を3回掛ければ【A】になるか」と同じですね。

つまり、掛け合わせた合計数値の累乗根が、掛け算の場合の平均
= “相乗平均”
というわけです。

もう一度先ほどの相乗平均の数式を見てみましょう。
今度はすんなり受け入れられるのではないでしょうか。

変化率の平均値の計算、もう間違えませんね。

答え合わせ!

さて、  最初に出した例題を考えて見ましょう。

人口増加率(対前年比)
1年目 1.1倍
2年目 1.9倍
3年目 1.5倍

 

この表の“相乗平均”を計算すると、【1.463….】が導き出されます。
※ExcelではGEOMEAN関数で相乗平均が計算できます。

たとえば基準の数値を1,000として、この増加率を当てはめてみましょう。

そのうえで、相加平均と相乗平均の結果を比較してみます。

%e5%9b%b31

3年目の数値は、相加平均ではなく相乗平均が見事に一致します。

これまでの内容を理解された方なら、当たり前の結果であることがわかりますよね。

安易に相加平均をしてしまうと、相乗平均より大きな数値になってしまうので注意が必要です。

まとめ

今日は、慣れ親しんだ平均とは違う“相乗平均”を勉強しました。

実はその他にも、いろんな平均があります。

速さの平均などで使われる“調和平均”、集団ごとの人数差を考慮する“加重平均” など。

正確なデータ分析のためには平均一つとっても注意しないといけませんね。

文系の私は、統計・数学は日々勉強です。

悩める文系の皆様!いっしょにがんばりましょう!

この記事を書いた人

小林  寿名古屋事務所 企画課

専門統計調査士、MUDアドバイザー 主に市町村の社会調査・計画策定コンサルティングに従事 データビジュアライゼーションやオープンデータ利活用が得意分野

スポンサードリンク