まずは情報収集から! “行政との上手なおつきあい”を考える
こんにちは、ライターの山村です。
今日は、このサイトのテーマでもある「行政との上手なおつきあい」について考えてみたいと思います。
ここでいう「行政」とは、お住まいの市町村役場(地方公共団体)をイメージしていただければと思います。
住民と行政との関わりを表す言葉に、「住民参加」というものがありますね。
また、これと似た言葉として「住民参画」というものもあります。
みなさんは、この2つの違いがおわかりでしょうか?
まずは、そのお話から。
「住民参加」と「住民参画」を考える!
行政との関わりにおける「住民参加」とは、政策の決定や地域問題の解決において住民が発言権を持ち、“意見が言える”ということです。
住民参加の方法には、審議会、委員会、地区懇談会、アンケート調査、パブリックコメントなどがあります。
でも、必ずしも、すべての意見が反映されるわけではありません。
また、“意見を言う”という行為は、どうしても一方通行になることが多いように思われます。そのため、“批判に終始する”という状況が生じやすいという面もあります。
では、「住民参画」とはどういうことでしょうか。
これは、“計画づくりの段階から参加する”ということです。
行政の政策立案や意思決定に直接関わり、意見交換し、合意形成するということです。
「住民参画」は、単に発言権を有する「住民参加」と比べて、より多くの住民の参加の下で行政との合意形成を図る手法であるといえます。
しかし、この方法は、多くの時間と労力及びコストを要します。
「住民参画」の典型例
「住民参画」の典型例として、地方自治法には「町村総会」という仕組みが規定されています。
2017年6月12日には、高知県大川村の和田村長が「町村総会」設置の検討をはじめたことを議会で表明し、ニュースにもなりましたね。
人口およそ400人の大川村では、議員のなり手不足が深刻で、2年後の選挙に立候補する人が定数の6名に満たない可能性が出てきているということです。そのため、最悪のケースとして「町村総会」を設置する必要があり、検討を開始したというニュースでした。
「町村総会」とは、町村が、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けて政策を決定していくしくみです。これは、直接民主制を実現するしくみであり、まさに「住民参画」の典型例といえます。
「町村総会」は、過去には2例が報告されていますが、地方自治法の下では東京都宇津木村(現在の八丈町の一部)の1例のみです。
ただし、高知県大川村の和田村長は、「町村総会」は村民の大きな負担になるので、設置する可能性は0(ゼロ)%でなくてはいけないとしています。
まずは「情報収集」から!
当メディアのテーマである“行政との上手なおつきあいを考える”上で大切なのは、“行政が発する情報に目を向ける”ことではないかと思います。
行政の動向や取組の結果が、私たちの生活に直結することは間違いのない事実です。
したがって、行政の動きは決して“他人事”ではありません。行政が発信する情報に関心を持ち、自分に必要な情報を収集することが大切だと思います。
行政による情報発信には、どんなものがある?
行政は、思いのほかいろいろな情報を発信しています。主な情報発信活動には、次のようなものがあります。
①ホームページ
市町村のホームページには、くらしの情報(各種手続きや行政サービスに関する情報)、市政(町政・村政)情報(施策、計画、条例、各種統計データ等)、観光・イベント情報、施設の情報、産業関係の情報、教育・文化の情報等、幅広い情報が掲載されています。
特に、くらしの情報では、現在利用できるサービス等を知ることができます。
また、市政(町政・村政)情報に掲載されている施策や計画からは、行政がめざしている今後の方向性を知ることができます。
②広報紙
定期的に発行される「広報紙」にも、ホームページ同様、くらしに関わる様々な情報が掲載されています。
③啓発冊子、パンフレット、行政計画の概要版など
情報提供や啓発を目的とする冊子やパンフレット、各種行政計画の概要版などが、紙やPDFデータ等で頒布・公表されています。
④役所の「情報コーナー」
多くの市町村に設置されている「情報コーナー」では、各種パンフレットや概要版等を直接手にすることができます。
⑤情報公開請求手続き
行政が発信している情報を見るだけでなく、行政が保有する情報の公開を請求することもできます。住民が行政の情報を知る権利は、「情報公開法」により保障されています。また、市町村によっては、「情報公開条例」を定めているところもあります。
まとめ
まずは、行政機関がどのような情報を発信しているのか、確認してみましょう。
さっそく、お住まいの市町村のホームページを覗いてみてください。「知る」ことこそ、「住民参加」や「住民参画」の第1歩です。
また、「知る」ことで、皆さんの生活に直接役に立つ行政サービスに出会えることもあります。
そして、お住まいの市町村役場の「情報コーナー」を散策してください。いろいろなツールがありますので、気軽に手に取ってみましょう。図書館、公民館、コミュニティセンターなどの施設でも、情報提供されている場合があります。
住民の皆さんと行政機関との距離が少しでも縮まることが、当メディアがめざす「行政との上手なおつきあい」の第一歩ではないかと考えています。
この記事を書いた人
山村 靖彦名古屋事務所
コラバド副編集長。 専門は社会福祉。 主に、自治体の福祉関係調査や計画策定を支援している。 社会福祉士、専門社会調査士の資格を有する。