アンケート調査における良くない質問②~知らずにやってしまう誘導質問とは?~

2018.02.27

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統計のおはなし

ごあいさつ

ライターの田原です。
「アンケート調査における良くない質問!」シリーズの第2弾です。
( ⇒ 第1弾はこちらです!)

ここで、つまらん記事を書くと、次回以降の連載も読んでもらえなくなってしまうので、頑張って書こうと思いましたが、変に構えてしまうと失敗することが多いので、今回もいつも通り書きますよ。

今回のテーマは「誘導質問」です。

誘導質問は回答傾向を歪めてしまうため、調査結果の信頼性を下げることにもつながります。気付かないうちに誘導質問をしてしまうこともありますが、意図的に誘導質問を行い、自分の思うとおりにデータを収集するということもできてしまいます。後者については、時間と労力をかけて調査を行っても、これでは正確なデータが得られません。 

では、前回と同じように、誘導質問の例を見ていきましょう。どこが問題なのか予想しながら読んでいくと楽しいかもしれません。  

社会的圧力

問:ワーク・ライフ・バランスの重要性が高まってきていますが、ワーク・ライフ・バランスの考え方についてどう思いますか。

1.良いと思う
2.どちらとも言えない
3.良いと思わない

 これは、社会的圧力を伴う質問と呼ばれるものです。

「ワーク・ライフ・バランスの重要性が高まってきている」という文言が誘導となっていますね。
このように、「重要だ」「問題になっている」等の言葉を記載すると、その言葉に誘導されてしまう可能性が生じます。
この場合だと、「良いと思う」という回答に誘導されてしまいます。 

ハロー効果

問:国において、ワーク・ライフ・バランスの考え方を推進していますが、ワーク・ライフ・バランスの考え方についてどう思いますか。

1.良いと思う
2.どちらとも言えない
3.良いと思わない 

先ほどの社会的圧力の質問と似ていますが、「国において、ワーク・ライフ・バランスの考え方を推進していますが」というところが誘導となります。
国が推進しているのだから、、、といったように誘導する可能性が生じます。

このほかにも、「専門家によると」や「○○大学の見解では」等といった影響力が強い主体の考えや行動が入ると、誘導となる可能性があります。
威光効果と呼んだりもします。 

少し難しいパターン

これまでのパターンは、誘導質問であるという意識で読んでみると、わかりやすかったかもしれません。
最後に、少し難しいパターンを紹介します。 

問:あなたは、ワーク・ライフ・バランスの考え方について良いと思いますか。

1.良いと思う
2.どちらとも言えない
3.良いと思わない 

どうでしょうか?
どこが誘導となっているかわかりましたか? 

正解は、「良いと思いますか」という聞き方です。

「良いと思いますか」と聞かれた場合、「良いと思う」と答えやすくなります。
「良いと思いますか」と聞かれ、「良いと思う」と答えてしまう傾向をイエステンデンシーと呼んだりもします。 

この場合は 、

問:あなたは、ワーク・ライフ・バランスの考え方についてどう思いますか。 

もしくは 、

問:あなたは、ワーク・ライフ・バランスの考え方について良いと思いますか、良くないと思いますか。 

といったようにするのが良いでしょう。
ただ、後者については、長くなるので、前者のように聞くのがベターですね。 

おわりに

今回は、誘導の可能性がある質問について紹介しました。
誘導質問を回避するためには、どのようなパターンが誘導になるのかを知った上で、きちんと調査票を設計することが重要です。

ここで紹介したものはまだ一部で、様々な誘導の可能性が生じるパターンがあります。
調査票を作成する際には、誘導だけではなく、様々な点に注意しなければ、適切なデータが得られなくなります。
調査票は、調査票作成者が、様々なパターンを想定し、細心の注意を払って作成していると思うと、アンケートに答えたくなりませんか。

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この記事を書いた人

田原 歩静岡事務所 企画課

最強の男

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