行政がつくる計画書を知っていますか?(前編)

2016.09.25

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行政のおはなし

計画書

こんにちは。ライターの一杉です。
皆さんが普段行かれる市役所や町役場、実は様々な計画書をつくっています。
計画書を作ることを「策定する」と言います。
あなたが気になった自治体や出身の都道府県庁のホームページを覗いてみると、「計画一覧」や「市の計画」などのページを簡単に見つけられます。

計画は大きく3種類

行政が策定している計画には大きく3種類があります。

1つ目は法律に定められていて、策定しなければならない『義務計画』です。これには「介護保険事業計画」、「高齢者福祉計画(老人福祉計画など色々な名称があります)」、「子ども・子育て支援事業計画」、「障害福祉計画」などが該当します。

2つ目は、法律等で策定を要請されている『努力義務計画』です。「空家等対策計画」、「男女共同参画推進計画」、「食育推進計画」などが該当します。

3つ目は、法律に関係なく、自治体独自の課題解決のために策定する『独自計画』です。「○○工業団地造成計画」、「協働のまちづくり計画」、「○○図書館建設計画」などが該当します。

昨今、地方分権の流れの中で義務計画はだんだん少なくなり、努力義務の計画へと転換してきました。さらに、地域の抱える課題は多様化してきており、独自計画も増えつつあります。

皆さんが住んでいるまちにはどんな計画があるでしょうか。一度検索してみると面白いかもしれません。

社会の変化に合わせて行われる計画の更新

計画は策定して終わりではありません。計画に基づいて行政運営を行い、その結果どうなったのかという検証が必要になります。その検証結果を踏まえ今後も推進していく必要がある場合には、第2次、第3次などと、計画を更新していくことになります。例えば、現在の「介護保険事業計画」は、第6期計画(平成27年度~平成29年度の計画)が運用されているところです。

また、同じような計画でも、衣替えして新しい計画になることがあります。例えば、「子ども・子育て支援事業計画」は、2004年(平成16年)までは「児童育成計画(エンゼルプラン)」でした。2014年(平成26年)までは「次世代育成支援対策行動計画」、2015年(平成27年)からは「子ども・子育て支援事業計画」となっています。もちろん、考え方や対象範囲、行政サービスなど、内容面の変化もあることから、名称だけが変わったわけではありませんが、『子ども』に関する計画として同じ種類に分類されます。

アンケートが送られてきたら・・・

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計画を策定したり更新したりする際には、住民の意向を踏まえるためにアンケート調査などの様々な調査を行います。皆さんは、お住まいのまちからアンケート調査票が送られてきたことはありませんか?皆さんの意見は、こうした計画づくりの基礎資料として扱われています。これは、住民として行政に参加参画できる大事な手段であると言えます。お住まいのまちからアンケート調査票が送られてきたらぜひ回答して、より良いまちづくりに参画してみてはいかがでしょうか。

また、計画を策定する際には、住民の代表者を公募して、検討会議メンバーに加わって議論することも通例になりつつあります。まちのホームページにも情報が掲載されますから、時々チェックしてみましょう。検討会議は、○○策定委員会、○○審議会という名称が一般的です。あなたの意見がそのまま採用されるわけではありませんが、日ごろ思っていることや感じていることを発言できる貴重な機会です。まちの情報に敏感になっていると、住民参画の機会にも出会えますよ。

まちづくりを自分ごとに

行政が計画に基づいて行政運営を行う姿を「計画行政」と呼びます。最近では厳しい財政状況や行政改革に伴う職員数の削減などで、まちづくりを行政だけで行うことが難しくなってきています。こうした中で地域住民や各種団体、企業などと共にまちづくりを行う「協働」という考え方が注目されています。住民の皆さん一人ひとりの参画が「計画行政」に欠かせないものになってきているのです。

この記事を書いた人

一杉 浩史経営企画部・静岡事務所

専門はまちづくり。自治基本条例や総合計画などの策定を支援している。 何足のわらじを履いているか自分でもわからない(笑)。 平成27年度東京大学社会科学研究所講師。

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